遠くに住んでいる友人の子息が泊りがけでマッサージ治療にやってきた。治療が終ると後は自由時間。水族館へ連れて行ってくれと頼まれた。
??「水族館ね」いわれて素早く頭を回転さすが場所がわからない。水族館、イコール海水魚の連想から、サントスまで行けばあるかも知れないが、自分の子供たちにも水族館は連れて行ってない。動物園といってくれればこっちの方はわかるのだが、と昔子供達と行った記憶が蘇る。多数の動物を観たのに。
何故かあのトカゲ(体長70?80cm,緑と灰色のトカゲ)が印象にのこっている。野生のトカゲは行動が素早く、捕獲ができぬほど敏捷なのに、園内のトカゲはもうこれ以上は無理と思われるほど肥え過ぎて身体を動かすのさえ大儀そう。食糧事情が良好すぎるのか。
動物園といえば新聞で読んで忘れられない小話がある。
子供にせがまれ上野動物園へ連れていっての帰り道「どうだった、面白かったかい」とパパ。
「うん、とっても面白かったよ。だから今度は下の動物園へ連れていってね」。
子供の嬉しそうな顔、パパの困った顔。想像できて楽しくなるが、水族館の所在地に困っていると、パソコンで検索した住所をくれた。見るとイピランガ区にある。それも住宅街の一隅。海水はどうするのだ。広い面積はどうやって確保したのか疑問が湧くが、まずは行ってみるかと一緒にでかけた。確かに水族館はあった。薄暗い館内に入ると子供たちが居る。居る。どの顔もうれしそう。
小さな水槽内には淡水魚が見受けられる。魚はなにも海水魚でなくても構わないわけだ、と独り納得して館内を前進する。
トカゲ、蛇、蛙、亀、大鼠、コウモリとこれでは小動物園だ。そうか、なんでもありなんだ、と考えを修正する。反対に何が現われるのか楽しみにもなる。
期待に応えて恐竜の骨格模型、実物復元模型とでてくるが、地球の生物進化の過程で、どうしてかくも巨大な動物が現われる必要性があったのかと素朴な疑問が湧いてくる。
続いて古代人、薄暗い館内で古代人と対じしていると、一瞬、まばたきしたかの感がして、周囲の雰囲気にひきこまれる。
途中潜水艦の艦内から海底を眺めているように作られた部屋にでるが、ここは本物の海水魚。サメは動こうとはしないし、背に変った斑点を持つ「えい」は天窓の上を泳いでいて腹しか見せない。貴方達のことなんか知ったことかと知らんぷり。すこぶるサービス精神に欠けている。大型の海獣はハリコで、電気しかけで首だけは動く。入館した子供たちに楽しんでもらおうとの気持だけは伝わってくる。興味を引く物なら、何も魚だけでなくっても構わないだろう・・・・・。開き直ったところが面白い。
そして最終コース。いろいろ水族館らしからぬ展示もあったけれど、たとえ魚であっても恐らく日本の水族館では見られぬ魚が二種類。
――にしき鯉と金魚でした。